「ホテル日本閣事件」の主犯として逮捕された小林カウは戦後初の女性死刑執行者となりましたが、この「ホテル日本閣事件」がTBS系の「実録!10人のコワイ女」で特集されます。1950年代に起きた事件ですが、「ホテル日本閣事件」の真相や小林カウの動機はなんだったのでしょうか？
貧しい農家に生まれた小林カウ
小林カウは、1908年に埼玉県熊谷市の農家に生まれました。
貧しい農家に生まれた小林カウでしたが、都会に興味があったため、若い頃に東京の本郷にある旅館に女中奉公として上京します。
東京で垢抜けた小林カウは21歳で結婚します。
結婚相手の小林秀之助は当時27歳で、小林カウの故郷の埼玉県熊谷市で自転車屋を開いていまいした。
それから数年後に日本は戦争に突入。
小林カウの夫の小林秀之助も戦地に向かいましたが、しばらくすると体を壊して戻ってきます。
戦争が終わり、夫婦で自転車屋を再開しますが自転車屋だけでは満足な収入が得られなかったため米や砂糖などの禁制品を扱ったり、熊谷市の特産品の五家宝というお菓子を内職で作るなどしていたそうです。
中村又一郎との出会いで人生が狂い始める
そんな時に、小林カウの家に戸口調査にきたのが中村又一郎という若い警察官。
米や砂糖などの禁制品を扱っていた小林カウは警察に目をつけられてはまずいと判断し中村又一郎を手厚くもてなします。
それに気をよくした中村又一郎は頻繁に小林カウの家を訪れるようになりました。
昔から不倫癖のあった小林カウは、若くてイケメンだった中村又一郎を気に入って二人は夫の小林秀之助の隠れて関係を持つようになりました。
警官が頻繁に訪れてしかも自分の嫁と仲よさそうにしている様子から二人の関係を怪しむようになった小林秀之助の存在が邪魔になった小林カウは中村又一郎が用意した劇薬を小林秀之助が風邪を引いた時に風邪薬と言って飲ませて殺害します。
現場には警察官の中村又一郎がいたことから、医者も二人を疑わなかったため誰にもばれることはなかったそうです。
そして、小林秀之助がいなくなったことで中村又一郎が小林カウと一緒に同棲を始めるのですが、未亡人との同棲が問題となり中村又一郎は警察官をクビになってしまいます。
家にずっといる中村又一郎の心を自分に向けておくには経済的な豊かさが必要と考えた小林カウは、漬物を温泉地のお土産として販売するビジネスを始めます。
漬物ビジネスではある程度の成功を手に入れるのですが、商売で家を空けることも多かった小林カウのいない間に、中村又一郎は若い女と仲良くなって結婚してしまったのです。
ホテル日本閣事件の真相が気になる
中村又一郎が若い女と結婚した時に号泣して悔しがったそうですが、そのエネルギーも商売につぎ込むように、今度は旅館を経営するという夢を抱くようになりました。
そして、温泉地である塩原に移り住んだ小林カウは、1958年にホテル日本閣が売りに出ているという話を聞いいてホテル日本閣の経営者だった生方鎌輔に連絡をとりました。
最初は、断られたもののしばらくすると今度は生方鎌輔の方から小林カウに共同経営の話を持ちかけてきました。
共同経営の話で頻繁に会うようになった二人はいつの間にか関係を持つようになり、今度は生方鎌輔の嫁のウメ殺害する計画を立てたのです。
今回は、青酸カリが手に入らなかったので、ホテル日本閣の従業員だった大貫光吉を買収して生方ウメの殺害を実行しました。
ウメがいなくなった後は、共同経営者としてホテル日本閣の経営権を手に入れるはずでしたが、小林カウが女将として旅館で働き出すと、生方鎌輔から聞かされていたのが全てウソだったことに気がつきます。
当初の予定では、正式に共同経営者になれば新館の名義は小林カウになるはずでしたが、名義は生方鎌輔のままでしかも旧館と一緒に競売にかけられることになっていたのです。
これに激怒した小林カウは、今度は大貫光吉に生方鎌輔の殺害を指示。
生方鎌輔もいなくなったことで、ホテル日本閣の経営権を単独で手にした小林カウは、夢だった旅館の経営をすることになったのです。
しかし、平穏な日々は長くは続きませんでした。
なんと、小林カウが生方鎌輔とウメを殺害を依頼した大貫光吉が別の窃盗事件で捕まり、警察の取り調べで二人を殺害したことを自供したのです。
すぐに、小林カウも逮捕されホテル日本閣事件として新聞などでも大々的に取り上げられました。
すると、小林カウと元夫の小林秀之助が住んでいた埼玉県熊谷市などから約10年前に小林秀之助が亡くなったのも小林カウが殺害したのではないかという手紙がホテル日本閣事件の捜査本部に相次いで届いたのです。
小林カウが自供しいたことで中村又一郎も共犯として逮捕。
最終的に、ホテル日本閣事件の主犯だった小林カウと殺害を実行した大貫光吉は死刑。
中村又一郎は殺人に関しては無罪で拳銃不法違反で懲役1年の刑が言い渡されました。
小林秀之助の殺害に関しては、青酸カリを入手したりと中村又一郎も実行犯の一人と考えられてもいいような気がするのですが、なぜ中村又一郎は無罪となったのでしょうか？
元警察官という経歴は関係ないとは思いますが、他の二人が死刑になったことを考えると中村又一郎が無罪だったというのがどうも引っかかるのですが・・・。
小林カウの動機は？
小林カウが殺人を犯してまで、ホテル日本閣の経営権を手に入れようとしたのでしょうか？
貧しい農家に生まれ早くから女中奉公に出たことで、もともとお金に対する執着心が人以上に強かったのかもしれません。
また、夫を殺害してまで一緒になろうとした中村又一郎が若い女と一緒になってしまったことで経済的な成功をより求めるようになっていったのでしょうか・・・？
ホテル日本閣の現在や跡地は？
ホテル日本閣の現在が気になったのですが、どうやら建物は取り壊されて跡地は空き地のままになっているようです。
ホテル日本閣のあった場所は、塩原温泉街の道路から箒川の福渡橋を渡ってすぐ右あたりにあったそうです。事件直後はホテル日本閣の建物を取り壊さずにそのまま買い取りたいという希望者もいたそうですが、結局取り壊されることになったようです。
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